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電気自動車のCO2排出量、ガソリン車を下回ることが研究で明らかに

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電気自動車のCO2排出量、ガソリン車を下回ることが研究で明らかに

電気自動車関連の国内外のニュースをご紹介します。今回の記事はイギリスのガーディアン紙の記事を全文翻訳でお届けします。


「電気自動車の二酸化炭素(CO2)排出量は、世界の大多数の地域でガソリン車を下回っている」 ― これは、「発電時および電気自動車の製造過程で排出されるCO2の量は、電気自動車による削減効果を上回る」と訴えてきた一部の反対派の主張とは相反するものです。

この研究結果は英国をはじめとする各国政府のCO2ゼロ・エミッションを目指す取り組みを後押しするものであり、その実現には電気自動車の大規模な普及が不可欠となります。そして、同様の削減効果は電気ヒート・ポンプにも見られました。

イギリスでは現在、輸送が気候危機の最大の原因として挙げられており、国内の大半の家庭では暖房に天然ガスが使われ続けてきました

全世界での、旅客輸送車両と家庭での暖房によるCO2排出量は、化石燃料の燃焼による総排出量のおよそ4分の1に上ります。つまり、全体的な排出量の削減は、電気自動車なくしては実現不可能ということです。とはいえ、電気自動車がどの程度クリーンであるかは、その生産過程や供給効率、そして車両の効率性によっても左右されます。

そのため、一部の個人や政府からは、これらのテクノロジーを広める価値があるかどうかを疑問視する声が上がっていました。ですが、『Nature Sustainability』誌で発表された今回の研究結果は、その価値を認める決め手となるものでした。

エクセター大学(イギリス)、ナイメーヘン・ラドバウド大学(オランダ)、ケンブリッジ大学(イギリス)の研究者チームによるライフサイクル評価では、発電時にかなりの化石燃料を必要とする場合でも、従来の車両や化石燃料を使用する暖房に比べてCO2削減効果があることがわかりました。

同チームは、59地域のうち53の地域、つまり世界の95%に当たる地域で、電気自動車と家庭用ヒート・ポンプのCO2排出量が、化石燃料を動力源とする車両やボイラーの排出量よりも少ないことが確認されました。唯一の例外は、ポーランドのような石炭への依存度が高い国です。

国内の電力のほとんどを再生可能エネルギーから得ているスウェーデンのような国や、主に原発で電力をまかなっているフランスでは、電気自動車の採用によるCO2削減効果は、従来の車両に比べて70%も高まるといいます。

イギリスでの削減効果は30%程度ですが、電気自動車の効率化がさらに進み、発電システムで発生するCO2の削減が促進されることで、その効果がさらに高まる可能性があります。

ヒート・ポンプは電気と熱交換システムを使用しますが、これは冷蔵庫の仕組みと同じです。地中熱ヒート・ポンプの場合は地下と地表の温度差、空気熱ヒート・ポンプの場合は屋外と屋内の空気の温度差を利用します。これらが広く使用されるようになれば、2050年までに世界の炭素排出量を年間最大0.8ギガトン、つまり現在のドイツにおける排出量と同等程度を削減できる可能性があることも今回の研究で明らかになりました。

ナイメーヘン・ラドバウド大学に所属し、同研究論文の筆頭著者であるFlorian Knobloch氏は、次のように指摘します。「電気自動車やヒート・ポンプがCO2の排出量を増加させる可能性があるというのは、基本的に根拠のない俗説です。我々はこれまでも多くの誤った情報が飛び交うのを見てきましたが、これはそうした俗説を払拭できる極めて信頼性の高い研究結果といえます。」

エクセター大学に所属し、同研究論文の共著者であるJean-Francois Mercure氏は、さらにこう付け加えています。「答えは明白です。炭素排出量を削減するには、化石燃料を動力源とするものではなく、電気自動車と家庭用ヒート・ポンプを選ぶ必要があります。」

一方、かねてより反対派の1人であり、気候問題の評論家であるBjørn Lomborg氏は、世界に向けて発信された新聞のコラムの中で、電気自動車は「富裕層が多額の助成金を支給されて満足するだけで、地球環境に関するメリットはほとんどない高価な代物にすぎない」と異議を唱えました。

国際環境NGOのFriends of the Earthで科学分野の責任者を務めるMike Childs氏は、次のようにコメントしています。「気候目標を達成する上で電気自動車とヒート・ポンプは絶対に欠かせません。ですから、こうした今後に期待を持てる報告が届いたことを喜ばしく思います。イギリスでは、電力網のエネルギー源を化石燃料から再生可能エネルギーへと切り替えるのと並行してこれらのテクノロジーを活用することで、継続的に大きな炭素削減効果が得られるでしょう。」

しかしChilds氏は、電気自動車やヒート・ポンプに頼るだけではなく、住居の断熱化や公共輸送の向上を図っていくことが今後も重要な目標になると警告し、政府がこれらの炭素削減効果の実現に向けた取り組みをさらに進めていくことを求めました。

「イギリス政府はもたもたしていますが、民間では必要とされている電気自動車やヒート・ポンプ、そしてそれらを支えるインフラの展開が速やかに進められています。」と同氏は述べています。

 

この記事はThe Guardianの環境分野担当記者Fiona Harveyが執筆し、NewsCredパブリッシャーネットワークを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@newscred.comにお願い致します。




The Guardianに2020年03月23日に掲載された記事です